妖鏡水神草紙 参(仮)
あやかしかがみすいじんそうし
妖鏡水神草紙 参
〜巫女、漸く身上を語る事
街道わきにほどなく、一行は今や住職も失くしたらしい小さな荒れ寺に辿り着く。
寺というより堂というべきか、外観は如何にも朽ちていたが――旅人が寝宿に使う事がしばしばあるのか、内部は思ったほどの埃や蜘蛛の巣もなく、なんとか寝場所にもなりそうな莚や、囲炉裏の設えがあった。これ幸いと今夜の宿と決め荷を下ろしていると、白蓮がひとりっきりで水垢離にゆくというので男衆が心配したのだが、一刻もしてから平気な顔で戻ってきた。
…その間に重傷を応急処置しただけの入道が、治癒の真言を使おうとしたのだが…傷が祟ったのか術が不発の様子である。白蓮が戸を開くと、まさに高虎に失笑を買っている現場に出くわした。
「水虎も術より拳で叩き潰した方がよかったんじゃねえか」
けして清海入道の術が見掛け倒しではないことを戦闘を経て知っていながら、この言である。
「あー!だから、妾が治してやると云うておるのに!」
「そう言うな、ましろ…」
苦笑を浮かべる入道が寝ている薦が、じっとり赤黒く染まりだしているのを見遣ればそれ以上小言を言う気も失せて、仁王立ちで彼等を睨んでいた白蓮もまだ水垢離の名残が滴る濡れ髪を背に結ぶと、囲炉裏のそばに座り腕を捲くった。忘れられがちだが、彼女も神変を駆使する巫女である。
「ひふみよいむなやここのと 布留部由良由良止布留部 かくせば死人も更に生きなんと誨え給ふ……」
妖鏡水神草紙 参
〜巫女、漸く身上を語る事
街道わきにほどなく、一行は今や住職も失くしたらしい小さな荒れ寺に辿り着く。
寺というより堂というべきか、外観は如何にも朽ちていたが――旅人が寝宿に使う事がしばしばあるのか、内部は思ったほどの埃や蜘蛛の巣もなく、なんとか寝場所にもなりそうな莚や、囲炉裏の設えがあった。これ幸いと今夜の宿と決め荷を下ろしていると、白蓮がひとりっきりで水垢離にゆくというので男衆が心配したのだが、一刻もしてから平気な顔で戻ってきた。
…その間に重傷を応急処置しただけの入道が、治癒の真言を使おうとしたのだが…傷が祟ったのか術が不発の様子である。白蓮が戸を開くと、まさに高虎に失笑を買っている現場に出くわした。
「水虎も術より拳で叩き潰した方がよかったんじゃねえか」
けして清海入道の術が見掛け倒しではないことを戦闘を経て知っていながら、この言である。
「あー!だから、妾が治してやると云うておるのに!」
「そう言うな、ましろ…」
苦笑を浮かべる入道が寝ている薦が、じっとり赤黒く染まりだしているのを見遣ればそれ以上小言を言う気も失せて、仁王立ちで彼等を睨んでいた白蓮もまだ水垢離の名残が滴る濡れ髪を背に結ぶと、囲炉裏のそばに座り腕を捲くった。忘れられがちだが、彼女も神変を駆使する巫女である。
「ひふみよいむなやここのと 布留部由良由良止布留部 かくせば死人も更に生きなんと誨え給ふ……」
【絵詞】常闇夜
【絵詞】巖に花が咲く如く
【絵詞】鬼火が呼んでいる
白蓮視点の吉川のむかしばなしです
漫画みたいなのを描こうとしても字が多くなるんだと反省しました。
明るい話ではないです、千法師さんを勝手に書いています。
ありえない絵の使い回しとかやってます
おまけに重いです
それでも許してくださる方は
つづきよりどうぞ
漫画みたいなのを描こうとしても字が多くなるんだと反省しました。
明るい話ではないです、千法師さんを勝手に書いています。
ありえない絵の使い回しとかやってます
おまけに重いです
それでも許してくださる方は
つづきよりどうぞ




