ぬばたま
手折れぬはちすは、白妙の。 神の花弁を、あけに染め。
DATE: 2008/04/29(火)   CATEGORY: 独語り録
【お題】月下香
そう、おそらくは、呼ばうのが怖かったのではなく。
そうしたとき、…応じられぬのではないかという惑いゆえの怯懦であったのだと思う。




娘は山あいの枝の上で。飛びつかれた鳥でもあるかのように、細枝の上へ裳裾や帯ごとからめて眠るように目を閉じ身を休めていた。

「いまの妾でも宜しいのですか。ああ、其処に、おられるのですか…」


薄く目を開けば淑としてまばゆいオオヤマレンゲの白花、早咲きの花片を下方を向けてゆるりとひらいてゆく。かたわらより銀に輝く鱗を光らせて、樹上の枝に絡みつく白蛇が奇瑞の姿もかくやとばかり、巫の娘の前へとちいさな鎌首をうねらせ近寄れば。



恋人にそうするかのように、怯えたように迷いがちにその鱗に頬を寄せて白蓮は微笑した。





――…ああ、みぃさま。ずうっと其処に在られたのだな。



(”神勅せよ、神奈備に坐せ”の続きかもしれず。いずこかの山間、最近。白蓮)
02 宵待人 古恋う20のお題
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